生まれた愛
「…結衣、本当にごめん!」
結衣がこんなテンション低く泣いてるところは初めて見た
「空って本当バカだよね」
結衣は重たい口を開いてくれた
確かに俺はバカだ
「あたしが何で泣いてるかわかんないでしょ?」
「それは…無理矢理キスしようとしたから?」
「……本当にバカ」
そう言って結衣は俺の背中を叩いた
「……あたしのこと、強い女の子だって思ってるでしょ?」
強い女の子……
確かに結衣は明るい
落ち込んでるところなんて見たことない
千尋がへこんでれば慰めて
みんなを笑わせてくれて
元気付けてくれる
「でもね、空が泣いた時、1番泣きたかったのはあたしなんだよ?」
「……どうして?」
「空が千尋にフラれて泣いてるってことは
千尋のこと好きすぎたからだよね?
空はあたしのこと好きじゃないじゃん
それはわかってるのに
なんでちゅーしようとしてくるの?
その場しのぎ?ただしたかっただけ?」
何も言い返せなかった
その通りだったから
「ごめん」
「謝ってばっか、
今日は空が落ち込んでたから元気付けてあげようと思っただけだよ
千尋を諦めろーとか、あたしを好きになれーなんて言わないよ
それなのに空がそんなことしてきたら期待しちゃうじゃん…」
やっぱりすげーいい奴だ
「最後に言わせて?」
「……ん?」
「あたし、さっきは軽く言っちゃったけど
空のこと、本当に好きだからね?
中学の時からずーーっとだからね?
だから人一倍空のことで傷つくの
めーーーっちゃ泣きたくなるの
今度そういうことしてきたら
もう抵抗しないからね?」