生まれた愛




そして1週間が経つ






千尋が引っ越すまであと1週間




「よーーーし!!お祭りじゃあああ!」




結衣が町のど真ん中で思い切り叫ぶ





「うるせーお前!
他の人も見てるからやめろ!」


「ほんと迷惑」




今日もテンションマックスの結衣に俺と千尋は鬼の形相で結衣を睨んだ



「まあまあ、今日はお祭りなんだから
楽しもうよ」




千尋が引っ越す前に思い出が欲しかった




だからめちゃくちゃ楽しそうな



超大規模のお祭りに来ている



お神輿を担ぐ人、太鼓を叩く人
歌を歌う人、踊りを踊る人



お祭りならではのイベントはもちろん




半径10キロ以上は続く屋台の豊富さ



赤字にならねーの!?ってくらいにサービスしてくれる屋台のおじちゃん達が俺は魅力だと思う




「にしてもやっぱ広いんだなー」



結衣ははしゃぎながらあたりを見渡す



「ほら!千尋ー!きゅうり買ってあげるからおいで!」



と言って千尋の腕を引っ張る結衣




「うん、わかったから声のボリューム少し抑えて」



千尋はそう言いながらも微笑ましそうに結衣を見ている




あーーこんな日々が続くのもあと1週間かー




ほのぼのとした1日だが



貴重な1日だ


俺も全力で楽しまないとな!





お祭りも多分全部回りきれないけど半分くらいは回った




くじ引きで当たった熊のぬいぐるみも千尋にあげた




「やったー!これほんとにもらっていいの?」


「おう、俺が持ってたら気持ち悪いだろ?」


「確かに、
じゃあこれ空だと思って飾っとくね」


「そうしてくれ」






俺は楽しみながらも少しずつ感じていた




千尋がどんどんと遠くなっていく





ずっと一緒だった千尋が



千尋との繋がりが




どんどんと離れていってる気がした













< 173 / 262 >

この作品をシェア

pagetop