生まれた愛
結衣の部屋だ
特に片付けるから待っててとか言われてないのに片付いている
常日頃から綺麗にしてるのかな?
俺と千尋はテーブルの前に座った
俺と千尋、2人だけになる
「両親じゃないってどういうこと?」
千尋も同じ疑問を持っていた
家に住んでるのに
両親じゃないのか?
でも確かに似てる感じはしなかった
どういうことかわからなかった
そして
バタン!と勢いよくドアが開く
「おいこら客、麦茶だ飲め!」
結衣がお盆に二つ麦茶を乗せて俺と千尋の前に置く
「あ、結衣待って!」
千尋が結衣の腕を掴むと
「なになに?あたし急ぎなんだから」
と顔をしかめる結衣
「今いる2人はどんな関係なの?」
千尋が俺の疑問を結衣にぶつけてくれた
「ん?おじさんとおばさんだよ
いとこの親、で、あのがきんちょ2人はいとこ」
………
「それってつまり…」
「うん、親居ないの」
俺の体にずっしりと何かが乗った気がした
親がいない?なんで?
いつも明るい結衣からは考えられないほど悲しい事実だった
「んじゃ急いでるからあと30分くらいは待ってて」
結衣がバタバタと部屋を出る
「……結衣って大変だったんだね」
千尋も同じことを思っていたのか
深刻そうな顔を浮かべていた