生まれた愛
俺は慌てるようにアルバムを閉じる
千尋に見られたらまずいと思ったから
あいつ…どんだけ真っ直ぐなんだよ…
俺はこんな風に誰かに好かれたことなんてなかった
だから結衣の言葉、行動が俺をまた惑わせる
パタンと閉じたアルバムをしまい
千尋を見ると
俺の方を見て少し微笑んでる
「結衣が空のこと好きなの知ってるよ」
「……え?」
千尋、知ってたのか?
なんで知ってるのかはわからない
でも結衣のことだから
何も隠さずに千尋に言ったんだと思う
でも俺は何故かそこに触れられたくはないと思ってしまう
「あんまり触れてほしくないんだよ
結衣に期待させるだけさせて
あとで落ち込んじゃうとやだから」
「なんで?期待に答えればいいじゃん
本当に無理なら断ればいいし」
「でも、俺はここ最近色んなことがありすぎて
少し落ち着いてから考えたいんだ」
「ふーーーん
もっと素直になればいいのに
結衣みたいにさ」
俺が中途半端なのは自分でもよくわかってる
でも、
千尋のこと好きとか言って
すぐ結衣に心変わりしてたらまるで俺は恋多き男みたいになるのが嫌だった
正直なところ
結衣への思いがどんどん募っていくばかりだけど
その中途半端な俺の考えが
その考える時間がほしかった