生まれた愛
なんの工場なのかは知らなかった
しかし扉を開けた瞬間
籠みたいのが上に積み上げられて居た
2メートルくらいある籠の列が一気に並んでいる
「何これ」
後から来た結衣の反応が少し怯えている
何が入ってるかは見えない
誰かがいる気配もない
「ここ…本当にやばいんじゃない?」
結衣もビビって俺の腕を両手で掴む
「でも、行くしかないだろ」
俺はそのまま工場内を歩いた
射殺とかされたら俺らはもう終わりだ
でも千尋の願いは叶えたかった
ずっと信じて来た翔と会って
千尋の思いを伝えたかった
そして
工場内の奥の方に人影が見える
「あれって…」
結衣が指差す
あいつは帽子も何もしていないのか
だからすぐに気がついた
モップを持って座ってケータイをいじっている
翔の姿が目に映った