生まれた愛
俺が強く翔に言う
「……ごめん」
下を向き頭を下げる翔
俺もとりあえず落ち着かせる
「事情は聞いたよ、お前、暴力団と関わりあるんだろ?」
俺は翔の事情は聞いたけど
本人の気持ちを知らないままでいた
だからこの話し合いで知りたかった
「……暴力団が来たのは本当だけど
連れてかれたとか、暴力団と一緒に働いてるわけじゃないよ」
翔は自分の口で真実を話してくれる
「……そうだったのか」
暴力団と関わってるわけではないのか?
翔は続ける
「あぁ、借金返せないままだったからな
金融会社の人が呼んで俺の母さんを脅したんだ
何もされてないけどこのままじゃやばいと思ったから
俺が働いて返すって話になって
金融会社の人達が勧めてくれたこの工場で働いてるだけだよ
ヤクザとは何の関係もない、連れてかれたわけじゃない」
俺はてっきり暴力団の工場で働いてるかと思っていた
あのカゴの中身はわからないけど
危ないものではないのかな?
翔のお母さんもテンパって少し大袈裟に言ってしまったのかもしれない
「じゃあ千尋と別れたのはなんで?」
俺が聞くと
「………それに関しては本当にごめん
大阪行くことになったし、責任取れなくなっちゃったから……
こんなの逃げだってことはわかってる」