生まれた愛
少し涙を堪えてる様子
翔は嘘ついてまで千尋と別れて黙って大阪にいるわけだ
色々と話を聞いていたが
やはり気になることは一つだった
「それでも千尋のこと今でも好きって言えるのか?」
翔はゆっくりと
縦に頷いた
「申し訳ないことしたと思ってる
でも、好きだよ、千尋との思い出は1年ちょっとだけど
簡単に忘れられるわけねーよ」
俺は少し微笑んだ
「翔がそれなら話は早いよな?」
俺は結衣と目を合わせる
「なんのために大阪まで来たかはここからが本題だよ」
結衣が翔の肩に手を置く
相変わらず馴れ馴れしいなあと言わんばかりに顔を歪ませる翔だった
「話の本題?」
翔の本音を聞けたから
今でも翔が好きな千尋に会ってほしい
結衣はそのままつづけた
「明日、千尋と会って、千尋のお父さんとも会って話し合ってけじめつけてこい」
「……けじめか…」
めちゃくちゃ後ろめたい気持ちはわかるけど
そうでもしないと
翔が最悪な男になる
そうじゃないとわかっているから
そうなってほしくない