生まれた愛
ガチャ
また玄関が開く音が聞こえる
スタスタと歩く音が聞こえる
誰が来るのか?
千尋の話も途中で止まった
リビングのドアがゆっくりと開く
そこには
千尋のお父さんが居た
「……お父さん…」
千尋もこの状況の中で入って来たことに動揺を隠しきれない
「ただいま」
後ろには千尋のお母さんがいる
「ん?空君と結衣ちゃん?
なんでここにいんの?」
千尋のお父さんはわざと翔の名前を呼ばなかったような気がした
「わざわざ来てくれたの
ほらもうすぐ産まれるから」
「おぉー!わざわざありがとー!
ほら、たこ焼きいっぱい買って来たから食べてくれ」
テーブルに並べられたたこ焼きの数
多分40個くらいある
「わー!すごい!食べていいんですか?」
結衣は嬉しそうに千尋のお父さんに聞く
「いっぱい食べて」
なんでこいつ食ってばっかなのに太らないんだろう
まあそんな話は置いといて
みんなでたこ焼きを頬張る中
翔だけは食べなかった
「翔君?食べな?」
千尋のお父さんは優しく翔に言う
千尋のお父さん、案外怒ってないようだ
普通に優しくしてるところを見て親子共々いい人だなと思う