生まれた愛
電話が鳴る
画面を見ると『千尋』と書かれてる
夜の8時くらいに電話なんて珍しいな
いつも電話してくらなら夕方くらいにしてくるんだけどな
「もしもし?」
『…あ、もしもし!』
いつもとは違う、少し高い声の千尋
「どうした?」
『………あはは…』
なに笑ってんだ?
「何もないなら切るぞ?
家で壁当てしてんだよ」
『あるよ!壁当てよりも大事だと思う』
「じゃあ用件を言いなさい」
『……………』
変だ、
明らかに変
「せめて心の準備出来てからにしろ
じゃあな」
『待て待て待て待て!』
「そんな待てばっかり言ってると
だんだん侍って字に見えるからやめて」
『ごめんて、言うからさ~』
「はよ言え」
少しだけ間が空く
言いたいけど言えない話なのか?
千尋そういうとこあるからな
「言う?」
『うん……』
千尋のタイミングで言わせる