生まれた愛
「どうした?なんで泣いてんの?」
「いいの………小説が泣けただけ」
あからさまな言い訳をする千尋
時間が経てば経つほど千尋の涙は量を増す
「翔となんかあったのか?」
考えられるとしたらそれしかない
千尋は黙って首を横に振るだけ
「何があったか教えてくれよ」
「もう放っといてよ!」
「放っとけねえだろ!」
俺は怒鳴るように言った
「千尋の泣き顔なんて見たくないんだよ」
千尋が好きだから言えたこと
千尋が泣いてたら放っとけないのは当たり前なんだ
千尋は立ち上がりカバンを背負う
「絶対追いかけないでね」
そう言って千尋は図書室を出る
なんで教えてくれないんだ…
今まで俺に相談してくれてただろ…
そんな関係でも良いと思ったから
俺は千尋の思う俺のままで居たんだよ
それでもいつか話してくれると信じて
調べものも探さないで俺は学校を出た