生まれた愛
「もう、俺らは終わりだよな…」
泣きながら千尋に別れを告げるかのよう
千尋は俺から離れてすすり泣きをしている
「ふざけんなよ!小3の頃から好きだったんだろ!
お前は中途半端に投げ出さない」
「嘘なんだよ!」
食いぎみに翔は言う
「本気だってこと見せたくて嘘ついてた」
…………そうだったのか
千尋は表情を変えない
あの時屋上で怒鳴ったのはそれが理由なのかも
俺も今は翔に頭にきてるところだ
「でもさ…」
翔は溢れた涙をもっと流し
「付き合っても、ほとんど昔の空の話ばっかりなんだよ
そんな話聞きたくもないのに
千尋は俺と付き合っても心のどこかでまだ空のこと好きだったんだよ」
悔しさを表すように手をぎゅっと握る翔
……ちょっと待て
千尋…まだ俺のこと好きだったのか…?
「ちょっと…違う…変な事言わないで!」