生まれた愛
昼休み
「空、ちょっと来て」
俺は千尋に呼び出される
何言われるかは大体わかるけどな
言われるがまま千尋についていくと
人気の少ない屋上まで足を運ぶ
フェンスにもたれて俯く千尋
その表情と一緒でやはり呼び出しの内容は暗いものだった
「今日、一日さ翔のこと探したんだけど
居なかった…」
そう、
呼び出された理由は翔のこと
俺も探してたけどどこにも居ないんだ
「俺はお前らの前には二度と顔を出さない
それって学校にも来ないってことなのかな?」
千尋が不安そうに俺を見る
「…まだちょっと翔を頼ってる?」
俺は千尋の本心を聞き出すかのように言う
しかし千尋はその言葉に首を横に振る
「ううん、もう翔は支えてくれないことはわかったからさ
ただちょっと心配なだけ」
「……そっかー」