生まれた愛




授業が始まるまで少し時間が空く



その間に




「空、ちょっと話さない?」




千尋に呼ばれた



絶対に昨日のことだろうと思いつつ俺は立ち上がり
千尋について行く




人気の少ない場所に行き


「ごめんね、急に呼び出しちゃって」


「いや、大丈夫だよ」



少しだけ間が空いて


千尋は重たい口を開いた



「昨日のこと、やっぱ無理だよ
広島に帰ることは絶対変えられない」


「……そっか」



「うん…それに」




千尋の表情から読み取るとあまりよくない話だということは気付いていた



「翔にしてもらったこととか
翔との思い出も忘れられないよ」




この1年間の翔のことを思い出していたようだ



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