総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】

兄貴のその声とほぼ同時に、倉庫内のドアが全部開いた音がした。


「一人残らず、連れて行けっ!」


野太い声と共に、たくさんの足音が響いた。


「ゲホッ・・・あに・・・き。」


必死に力を入れる、俺に気づいたチグサが手を貸してくれる。


視界に入ったのは、手錠をかけられたリトと俺を守るようにして立つ兄貴の姿。


リトは、自分にかけられた手錠を眺めていた。


「ゲホッ・・・なぁ・・・ガハッ・・・・お前にとってレナはどんな存在だった・・・。」


喉に張り付く血が邪魔をして、うまくしゃべれない。


けど、これだけは聞きたかった。


お前たちにとって、あの少女はなんだった?


< 189 / 373 >

この作品をシェア

pagetop