総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
兄貴のその声とほぼ同時に、倉庫内のドアが全部開いた音がした。
「一人残らず、連れて行けっ!」
野太い声と共に、たくさんの足音が響いた。
「ゲホッ・・・あに・・・き。」
必死に力を入れる、俺に気づいたチグサが手を貸してくれる。
視界に入ったのは、手錠をかけられたリトと俺を守るようにして立つ兄貴の姿。
リトは、自分にかけられた手錠を眺めていた。
「ゲホッ・・・なぁ・・・ガハッ・・・・お前にとってレナはどんな存在だった・・・。」
喉に張り付く血が邪魔をして、うまくしゃべれない。
けど、これだけは聞きたかった。
お前たちにとって、あの少女はなんだった?