総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
護りたかったもの、奪われたもの
堕ちた希望
目の前で起きたことを理解するのに『私は』時間がかからなかった。
倒れた女の人は、ルイのおねぇさんで。
そのおねぇさんが、今。
――――――――刺された
あたしは、息をのんだ。
シンの嗤い声だけが響く倉庫の中で、あたしたちは現実に目を向けられなくたっていた。
特に。
「‥‥姉‥‥き‥‥?」
ルイは、重症だった。
手を強く握ってても気づいてくれない。
やけに心臓の音がうるさい。