総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
強く込めた願いは、ルイの裾を掴む手へ注がれた。
もう、目の前で誰かが壊れていく姿を見たくないよ‥‥っ。
あたしの手の甲に、一粒の滴が零れ落ちた。
「え‥‥?」
今までギュッと閉じていた目を開け、上を見上げる。
ルイの目から、一滴の涙が頬を伝っていた。
「る‥‥い?」
いろんな感情が混ざり合って、どんな表情(かお)をしていいのかわからない。
こんなとき、どんな表情になればいいんだっけ。
なんだか、この感じをあたしは知ってる。
周りに合わせて、機嫌を取ってる時の自分と鏡合わせでいるような気がした。