総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
「ふ、ふぇええ」


大きな瞳にたくさんの涙が溜まっていく。


「「え、えっ」」


ふたりして慌てた。


小さな女の子を扱ったことなんてないし、どうすればいいんだよっ?


え、えとそうだよな!


怪我したから泣いてるんだし、傷の手当てをっ。


そう思ってポケットに入っていたハンカチを水道で濡らして、彼女のもとへ急いだ。


けど、戻った時には彼女はもう泣き止んでいた。


「ありがとう、おにぃちゃん」


「おぅ、わ、わるかったな。その、ぶつかっちゃって‥‥」


ヘラっとあどけなく笑う彼女と照れくさそうに謝る俺と同い年の兄貴。


< 302 / 373 >

この作品をシェア

pagetop