総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
先程まではなかった彼女の手の中でくしゃりと音を立てる、カラフルな包紙の飴玉。


あぁ、そういえば今日のおやつは飴だったっけ。


そうか、俺さっき食べちゃったんだっけ。


けどシンは食べてなかったのか。


それを、その子にあげたのか。


「ほら、これで足から出てる血も拭きな」


悔しさとか戸惑いも含んだ笑顔で俺は、その小さな膝に濡れたハンカチをあてた。


「うっ‥‥」


「ご、ごめんっ痛かった‥‥‥?」


慌てる俺に小さく首を振って、また兄貴に向けたみたいにへらりと笑った。


俺はそれだけのことがすごく嬉しかった。


今までで、初めて兄貴と俺を対等に扱ってくれたから。


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