総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
家での俺はシンのおまけみたいな存在だった。


だから、シンと対等に扱われてことなんて一度もない。


きっとこの子も同じだと思ってた。


シンと同じように笑いかけてもらえるなんて思ってもみなかったんだ。


近くに転がっていたぬいぐるみも拾って彼女に手渡した。


それから、少しだけ一緒に遊んで家に帰った。


この時からだった。


シンが変わったのは。


家では心ここにあらずといった感じになり、何かを親父に頼んではいつも断られていた。


そして、毎日のように「公園に遊びに行こう」と俺を誘った。


公園に行っても前のように遊ぶわけじゃなく、キョロキョロしてはため息をついてブランコに乗ったりして時間を潰した。


最初、俺は何がしたいのかさっぱりわからなかった。


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