総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
繋ぎ合うはずだった手と手。


それが、今あたしの横をかすめる。


「悪ぃな。一緒に堕ちてもらうぜ」


少しだけ切なそうに笑うシンをあたしは、睨むこともできなかった。


倒れていくヒサのお腹周りに広がっていく赤い染み。


「ヒサっ!!!」


後ろから聞こえて来るヒサを呼ぶ声。


行き場のなくなった手を見つめたあと、ゆっくりと乾いたコンクリに眠るヒサを見る。


これは?夢‥‥‥なんだよね?


質の悪い夢だなぁ。


現実から目をそらしたくなる。


頭が‥‥‥ついていかない。


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