総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
アサに抱きかかえられるヒサをあたしは、ただ見つめていた。


うっすら目を開けたヒサ。


「ひ‥‥‥さ?」


ゆっくりしゃがみこみながら、生気を失いかけた顔を包み込む。


「おぃ、ルイ!いつものヤブ医者呼べ!」


カラがヒサの傷口を抑えながら叫んだ。


少しだけ、ヒサの顔‥‥あったかい。


「ねぇ、ヒサ。さっきあたしの手、取ろうとしてくれたよね」


嬉しかったんよ、すごく。


「レナ、一体何を‥‥‥」


ユウコの不安げな声が静かになった倉庫に響いた。


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