総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
「いなく、ならないでね」


顔を包み込む手を、あたしはヒサの手につなぎ合わせることはしなかった。


そうしたら、もう二度と手を掴むことが無理な気がしたから。


本当は抱きつきたい。


叫びたい。


この、言い知れない不安をぶちまけたい。


でも、不安を押し殺すのには慣れてる。


感情をセーブして笑顔を作ることにも、慣れてる。


「‥‥‥笑うな‥‥‥」


傷口のせいで、そんな苦しい顔をしてるんだよね‥‥?


「無理‥‥。じゃないと‥‥泣いちゃう」


唇が震える。


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