総長が求めた光 ~Ⅲ神と獣~【完】
あたしが1人考えているのに、アキは黙ってあたしを見つめたまま、動かない。


「ちょっと、アキも何か考え‥‥‥‥‥」


今まで部屋を照らしていた太陽が雲に隠れ部屋が薄暗くなった。


‥‥‥‥‥気がした。


あたしを包む香りはいつかと同じベビーパウダーの香り。


あたしに、安心感をくれる香りだった。


「アキ‥‥‥?」


お腹に回るアキの腕が震えていた。


「レナ‥‥本当に無事でよかった」


「それは、こっちも同じだよ。アキ」


あたしだって、怖かった。


声が‥‥震える。


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