魔女な生き方-ハルジオン-
「もう出てけよ。」
「ねぇ…あたしの話も聞いてよ…」
「聞く事なんて無い。早く出てけ。」
「頼斗くっ…!!」
「出てけって言ってるだろ!!」
朝早くから部屋に響くその声に愛奈は驚きから手に持つタバコをギュッと潰した
無音と無言の中に居る2人に呼吸する音さえ邪魔に聞こえた
愛奈は頼斗の膝の上に曲がり潰れたタバコを置いた
俯いたその顔の表情は見えないものの、チラッと見えた頬には1筋の涙が伝っている様にも見えた…
ズキッと胸の辺りに痛みが走る
彼女の悲しそうな顔を見るといつもそう
悪いと思っておきながら
俺はいつも彼女を否定するーー
愛奈はフラッと立ち上がりドアノブに手を掛けた
開かれたドアの目の前には壁に設置された火災報知器
赤いランプが消える事なく光続けている
「頼斗君…ううん。頼ちゃん。」
呼ぶその声に頼斗は視線すら動かさない
それどころか、潰されたタバコを元に戻すと持っていたジッポで火を付けた
上がる煙に吐く煙
フーッと息を吐くその音にも愛奈には聞こえてきただろうーー
「あたし…頼ちゃんと変な噂が流れてても…嬉しいよ。」
その言葉に煙を吸った喉が詰まる様に止まる
パタンッー…!!
そんな言葉を残し愛奈はドアの向こうに歩いて行った
時が止まった様な感覚に襲われる中、タバコの煙だけば薄く細く上がる
「…ッッ!!げほっげっほ…ごほっ!!」
詰まった煙が喉を襲った
苦しみと吐き気が肺を締め付ける
涙が溜まったその瞳で目の前が歪んだ
目の前に置かれた茶色い長い机には灰皿は無い
灰がゆかの上にポトリと落ちた
その灰の上に雫が1つ落ちる
「…こんな物…吸うもんじゃねぇな。」
慣れないその気持ち悪さにまた胸が痛み
頼斗は俯きまた1つ涙を落としたー…。