君に伝えたい、ことがある。

あまりにもおかしそうに笑うから、自分の答えがおかしかったのかと不安になる。


「まぁ…そういうことにしておこうか。」

男は笑いながら言う。

片目を少しつぶって笑うのは、この男の癖なのだろうか、綺麗な顔立ちなのに冷たい印象を受けないのはそれが理由かもしれない。


「あ…の!!でも私もう半年くらいしか…」

そう言いかけた私の唇に、男はそっと自らの右手の人差し指をあてた。

綺麗な唇が、シーっと言う形を描く。
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