もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
「おっ邪魔しまーす!」


朝から2人をひやかす瑞希も、ただならない空気にすぐに気付く。


「人のアドレス、勝手に教えてんじゃねーよ!」


大谷は捨て台詞を残し、乗客をすり抜けて奥へと移動した。


「だって、それは……」


沙也香に頼まれたのだと言おうとした。


けれど、言葉を飲み込んだ。


なんとなく、言ってはいけないことのような気がしたからだ。


「アドレスくらい、なんなのよ!」


どうしたらいいのか、分からなくなってしまった優衣は、強気な発言をしてしまう。


「……なんかあったの?」


心配そうに、優衣を見る瑞希。


「沙也香にアドレス教えたこと、怒ってるみたい」


「そっか、なるほどねっ」


1人で納得して、突然笑いだす瑞希。


「どーしたの?」


「別に……。優衣って、本当に鈍感なんだねっ」


「はっ!? 何、それーっ」
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