もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
「あっ、見たんだぁ」


喜ぶ様子もなく、愛想笑いで答える沙也香。


「これで、パパとママも認めてくれるねっ」


嬉しそうにはしゃぐ優衣を、冷めた視線で見つめている。


「あの人達、私の絵には全く興味ないから」


淋しげに言い放つ沙也香の隣りで、瑞希の顔色が変わった。


「そんな訳ないじゃん! ちゃんと報告したの!?」


その一渇で、喜びの空気の温度が一気に下がっていく。


「報告しなくたって分かってるわよ! 私の行事の為に、どっちが仕事を犠牲にするかでいつでも揉めてきたんだからっ」


「へぇー、親も沙也香も最悪だね!」


瑞希のきつい一言で、沙也香は涙ぐんでしまった。


人一倍、友達想いの瑞希を優衣は知っている。


そして、沙也香の心には、その想いが届かないことも……。


(ゲッ、この空気どうすんのーっ!?)
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