もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
ほどよい風に睡魔を誘われながら、物理の授業が終わる。


そして、6時間目は委員会活動。


「ねぇ、優衣……。私、瑞希に嫌われちゃったかなぁ?」


陽だまりの中で優しく揺れる秋桜に、やわらかい水のシャワーを浴びせながら、沙也香がポツリと呟いた。


朝の出来事をずっと引きずっていたらしく、かなり落ち込んでいる。


「何言ってんの! そんなことある訳ないじゃん」


蛇口の水を止めて、沙也香に近付いていく。


「私ね、自分でも自分のことが大っ嫌いなの」


「えっ!?」


不意に出た沙也香の言葉に、優衣は立ち止まった。


「大谷にも嫌われてるみたいだし……」


「そんなぁ……。だって、メル友になったんでしょ!?」


「メル友って言っても、ほとんどが私の一方的なメール……。大谷は、たまーに質問に答えてくれるだけ」


「そうなんだぁ」
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