もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
あと30mというところで、バスはエンジン音を高らかに響かせ……、


「うそ……」


無情にも発車。


「やだ。まじ? ありえないよーっ」


今までなら絶対に乗れていた。


ほとんどのバスの運転手が、凄い形相で走ってくる優衣に気付いてくれたからだ。


けれども……、


最近、そのバス停には、とても近代的で小綺麗な白い待合所が設置された。


前面は今までと変わりなく吹きさらしになっているが、側面や外壁は必要以上に頑丈そうなコンクリートで造られている。


見栄えも美しく、雨風雪を凌げ大変ありがたいのだが……。


その建物のお蔭で、ラベンダー畑に挟まれた小道は運転席から全く見えなくなってしまったのである。
< 13 / 358 >

この作品をシェア

pagetop