もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
「ダメじゃ〜ん、もう間に合わないよ」


学校までの道のりは、とても走っていける距離ではない。


次のバスは30分後……、


いつも乗っているバスだ。


全てを諦めた優衣は、待合所の中にあるベンチに崩れるように倒れ込んだ。


バーッン、ドサドサ!


放り投げた鞄からは中身が飛び出し、あちこちに散乱する。


「もーっ、最悪!」


自分への怒りを抑えながら、砂っぽくなった教科書やノートを無造作に鞄の中に放り込む。


「そうだ、沙也香(さやか)に連絡しなきゃ」


携帯を取り出そうと、制服のポケットを探る。


「あれ? 確かここに……」


荒れた鞄の中に顔を突っ込み、更に荒らす。


「携帯がない!」


立ち上がって辺りを見渡してみた……。


しゃがみ込んで、ベンチの下を覗いてみる。


「あっ、あったぁーっ♪」


やっと見つけた携帯に手を伸ばそうとしたその瞬間、


優衣の携帯の上を何かが通過した。


虫でもない鳥でもない、小動物でもない何かが……。
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