もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
透き通った空からは、ふわふわと粉雪が舞っている。


「うーっ、寒くて凍りそーっ」


かじかんだ指先を白い息で温めながら、荷物を持ち直す優衣。


「鞄、持ってやるよ」


「いいよ、大丈夫っ」


「いいから」


大谷は強引に鞄を受け取ると、自分の荷物と一緒にまとめて軽々と肩に掛けた。


「優しいじゃん」


「まぁなっ。今日は、記念すべき決戦の日だからな」


「決戦……?」


『ナンナンダヨ、コイツ!』


ポケットの中で、不機嫌そうに様子を伺っているおじさん。


「大谷だよ……」


気付かれないように、小声で説明する。
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