もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚

黒い空

「こんなにいい天気なのに、夕方から荒れるんだよね」


昼食を終えた瑞希が、教室の窓から顔を覗かせて空を見上げていた。


初夏の陽射しが、眩しく降り注いでいる。


「えーっ、まじで! 今日、5時からバイトの面接なのにっ」


弁当の袋を提げたまま、瑞希に近付いていく優衣。


「面接って、Mバーガーの?」


「うん」


顔を見合わせ、同時に晴れた空を見上げる。


「何なに、どうしたの?」


沙也香が、2人の中を割って入ってきた。


未だA組に馴染めない沙也香は、このB組で過ごすことが多い。


「優衣、今日バイトの面接なんだって。でも、天気が怪しいねって言ってたところ」


瑞希の言葉に、大きく反応する沙也香。


「そうそう激しく荒れるって、お天気お姉さんが必死に訴えてた」


沙也香も身を乗り出して、空を見つめている。


「うわぁ〜、最悪。今朝、テレビ見る余裕なかったしなぁ。傘もわざわざ玄関に置いてきちゃったよ……」


うなだれる優衣。


瑞希が、沙也香の背後から顔を出した。


「じゃあ、私の置き傘貸してあげるよ! あれ持ってるといいことあるから」


「まじで!?」


嬉しそうに瑞希を見る優衣。


「優衣、よかったね! いいことあったら教えてね」


沙也香も、笑顔で優衣を見た。
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