もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
長い冬の間、放置状態だった校庭の花壇。


厳しい寒さから守られていたシートが外されると、生命力をたっぷりと蓄えた茶色い土が蘇る。


無言のまま仕事を続ける優衣と沙也香は、感動を分かち合うこともできない。


ひたすら、花壇の手入れに専念する……。


「おっ! 水捲き、復活!?」


通り掛かった大谷が、いつもの調子で優衣をちゃかす。


「もう、春だからねっ」


「春かぁ……。今日、バイトは?」


「あるよ!」


その時、明るく応える優衣の返事を遮るかのように、沙也香が大谷に走り寄った。
< 262 / 358 >

この作品をシェア

pagetop