もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
「こんなところに居たら、お腹の子に障りますよ」


静かに、声のする方を見上げてみる。


(あっ、深沢!)


あの時、優衣を怒鳴り付けた、警察の制服を着た深沢にそっくりな男が、優しく微笑み掛けている。


(えっ、なんでそんなに優しいの?)


我に返った優衣は、立ち上がろうとしてふら付いた。


深沢に似た男はそんな優衣を支え、ゆっくりと立ち上がらせてくれる。


「1人で帰れますか?」


「はい、ありがとうございます。もう、大丈夫です」


すっかり日が暮れてしまった暗い夜道を、たった1人、歩きだす。


どこをどう歩いているのか……、


何から考えたらよいのか……、


月明かりだけを頼りに、ただ、ただ、足を前に運ぶ。
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