もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚
気が付くと、あの大谷に初めて出逢った日本家屋の前に辿り着いていた。


明かりが煌々と灯されたその家は、優衣を温かく迎えてくれている。


当たり前のように中に入っていき、あのハシゴのような華奢な階段を、重い体で1段1段上がっていく……。


「うわぁ〜っ、綺麗……」


途中の小さな窓には、白く輝く美しい三日月が映しだされている。


そして、階段を上がりきったところには……、


「あっ、やっぱり!」


そこには和服姿のおじさんが……、


あの時と同じように待ち構えている。


「おじさーん!」


優衣の声に、おじさんは一瞬、ニヤリと笑った。


けれど、すぐに元のすました顔に戻る。


『お待ちしておりました』


そう言って、奥へと歩きだす。


(変なおじさんっ。知らない振りしてるのっ!? それとも……、もしかしてこれも妖精界の掟とか?)
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