もう一度、君にめぐり逢いたい〜ちっさいおじさんが起こした奇跡⁎⁺˳✧༚

始まる予感

ミーン、ミンミンミンミーーン……。


賑やかな蝉の声に活気付けられ、期待と解放感でいっぱいの夏休みが始まる。


「おじさん、行ってきまーす」


優衣は、廊下でおじさんとすれ違った。


『アレッ、学校に行くのカイ!?』


制服姿を、不思議そうに見上げている。


「うん! 花に水をあげに行くのっ。そのあと、バイトに直行」


『お花さんはいいナァ……。ワタシにもお水を浴びさせてオクレ!』


「おじさんは自分でできるでしょ!」


冷たい視線を残し、凄まじい勢いでバスに乗る。
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