銀棺の一角獣
プロローグ
月明かりの下、月光と同じ色の髪を持った少女がうずくまっている。
少女が今いるのは、広い石造りのテラスだった。
「お父様……、お父様……!」
つぶやくたびに彼女の肩が揺れた。
押し殺したすすり泣きが、夜の闇に響き、悲痛な声に同情するように梟の鳴く声が重なる。
彼女がまとうのは、解いたままの髪とは対照的な闇の色のドレス――死者を弔うための衣服だった。
「――アルティナ様」
彼女の髪と同じ色の鎧をまとった騎士が、アルティナの側に膝をついた。
「……このようなところではいけません。せめて……お部屋に――」
涙に濡れた紫水晶の瞳が、騎士を見つめ――また新たな涙がこぼれ落ちる。
「……ルドヴィク」
「……はい」
ルドヴィクと呼ばれた騎士は、アルティナの手を取った。大切そうに彼女の小さな手を、自分の手の中に包み込む。
「……もう、おしまいね……この国は……」
「そんなことはありません。自分も――ナッシュ隊長も敵を退けるために全力をつくします」
少女が今いるのは、広い石造りのテラスだった。
「お父様……、お父様……!」
つぶやくたびに彼女の肩が揺れた。
押し殺したすすり泣きが、夜の闇に響き、悲痛な声に同情するように梟の鳴く声が重なる。
彼女がまとうのは、解いたままの髪とは対照的な闇の色のドレス――死者を弔うための衣服だった。
「――アルティナ様」
彼女の髪と同じ色の鎧をまとった騎士が、アルティナの側に膝をついた。
「……このようなところではいけません。せめて……お部屋に――」
涙に濡れた紫水晶の瞳が、騎士を見つめ――また新たな涙がこぼれ落ちる。
「……ルドヴィク」
「……はい」
ルドヴィクと呼ばれた騎士は、アルティナの手を取った。大切そうに彼女の小さな手を、自分の手の中に包み込む。
「……もう、おしまいね……この国は……」
「そんなことはありません。自分も――ナッシュ隊長も敵を退けるために全力をつくします」