銀棺の一角獣
「スウェイン。キーラン様と供の者たちに部屋を用意していただけますか?」

「もちろんですとも」


 その言葉にアルティナは軽く頷いて、スウェインに導かれるままに神殿に足を踏み入れた。


「よろしければ、すぐにでも始めたいと思いますが……」

「お願い。なるべく早く戻りたいの」

「かしこまりました」


 歩きながら話すスウェインは、アルティナを連れて神殿の奥へ、奥へと入っていく。

 神殿の床は石造りだった。壁も同じ材質でできている。床は綺麗に磨かれていた。左右の壁には何枚もの絵がかけられている。

 柱には美しい彫刻が施されている。一本、一本、違う模様だった。それからは無言のままアルティナはスウェインの後についていく。

 やがてたどりついたのは、何もない部屋だった。その部屋に窓はなく、室内を照らしているのは壁一面に並べられた蝋燭だ。

 それでも広い部屋であることはわかる。ここまでの廊下とは違って、ここの壁には何もかけられていない。
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