銀棺の一角獣
「では、一角獣を欲しがったのは? アルティナが封印を解いたら、一角獣は逃げてしまったじゃないか。敵をわざわざ逃がす必要なんて――」

「逃がしたんじゃない、俺を喰おうとしたんだ」

 アルティナが話している間ずっと、泉で水をばしゃばしゃとはね散らかしていた一角獣が、三人の方へと戻ってくる。

 普通に彼が口をきいていることよりも、口調の荒さの方がアルティナには気になる。今はそんなことを気にしている場合ではないこともわかるのだが。

「俺の完全復活には、まだ時間がかかる。俺の復活を待つより、俺を喰って取り込んだ方が強力になれると思ったんだろうな。とはいえ、封印に解いても大丈夫なのは――俺を棺に封じたライディーア王家の血筋の者だけだ。だからライディーアに侵攻して、棺を奪ったのだろう」

「では、アルティナ様が封印を解いたのは正しい行為だったと?」


 ルドヴィクが割り込む。
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