銀棺の一角獣
 その夜は、ルドヴィクが馬を調達してきた村で一夜を過ごした。村人たちは突然やってきたアルティナに驚いたものの、できる限りの歓待をしてくれた。

 子どもたちは物珍しそうにアルティナの髪に触れては、母親にしかられ、母親たちはアルティナに必死に詫びる。

 若い娘たちはルドヴィクとキーランの側を取り囲み、何とか二人の気を引こうとしていた。

 出された料理はむろん王宮で食べているものとは比較できないほど素朴なものだったけれど、三人とも喜んでそれを口にした。

 三人は村長の家に通されて、それぞれに一室を与えられた。


「俺を馬屋に通そうというのは、どうかと思うんだがな」


 馬たちと同じ馬屋で過ごすのは気が進まない、とティレルは一晩野外で過ごすことを選んだ。今日はちょうどいい気候だし、雨も降りそうにない。

 アルティナが通された部屋の窓の外に彼はいる。窓から顔を出したアルティナは、手を伸ばして彼の鬣に触れた。
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