銀棺の一角獣
「そうね、あなたは馬ではないもの」


 鬣を撫で、そのまま手を顔へと滑らせる。額にある角に触れると、彼は満足そうに小さくうなった。


「まあいいさ。こうして外に出るのは久しぶりだからな」


 満足そうに彼は、風に鬣をなびかせる。尾をゆったりと振りながら、アルティナのいる窓の下を行ったりきたりしていた。


「……これからどうするの? 都に戻ったら?」

「やらねばならぬことをすませてから、リンドロウムの森に行く。キーランとやらにはやってもらわなければならないことがあるからな」

「キーラン様は器だものね……」

「おまえにもやってもらわなきゃならないことがあるんだぞ? アルティナ」

「わかっているわ」


 アルティナはティレルの言葉に頷く。


< 130 / 381 >

この作品をシェア

pagetop