銀棺の一角獣
「密偵を我が国に送り込むでしょう。それとともに暗殺部隊も――密偵からの報告を受けながら、ティレル殿を亡き者にする機会をうかがい、その機会がきた時には、のがさないようにするでしょう」

「……そうなるかしら」

「ティレル殿がいなければ、我が国には対抗する手段はほとんどありませんから――キーラン殿下はそれからゆっくり取り戻しても間に合うでしょう」


 取り戻すつもりはあるのだろうかとアルティナは一瞬考えたが――すぐに考え直す。キーランは新しい器だ。いつまでもこの国に置いておくつもりもないだろう。

 取り戻しに来るはずだ。

 彼がいないとなれば、新しい器を見つけなくてはならない。

 その時には二人いるという兄――アルティナは顔を合わせる機会はなかった――のうちいずれかが器になる可能性が高いが、ライオールをのっとっている魔物との親和性はキーランが一番高い。
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