銀棺の一角獣
「連れて行け。放っておいても、こいつら絶対についてくるぞ」

「……お連れください。アルティナ様」


 デインが彼らに口添えした。


「いざという時には、我々を盾にしてお逃げください」


 ミラールがアルティナに向かって頭を下げる。アルティナは、それ以上続けることはできなかった。


「……お願いします」


 ティレルの背から、アルティナは頭を下げる。それが正しいことなのかどうかは、わからなかった。





 ティレルの背に揺られるアルティナの目には、まばゆいばかりに輝く金色の髪がうつる。アルティナのすぐ前を、ルドヴィクは進んでいた。

 旅の間に汚れてしまっていた彼の髪は、昨夜綺麗に洗われたのだろう。乱れなくきっちりと編まれて、先は赤い飾り紐で結わえてある。


「……助かったな」


 小声でティレルが言った。


「助かった?」


 意味がわからなくて、アルティナは疑問系で返す。
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