銀棺の一角獣
 けれど、騎士たちはいつの間に用意していたのか、食料だけではなく、調理器具や寝具まで運んでいた。


「今日はここで野営するぞ」


 指揮をとっているのは一番年長のミラールだった。アルティナが地面に座り込んでいる間に、着々と野営の準備が進められる。

 細い棒を組み合わせて作った枠に布を張る。それはアルティナのために用意されたテントだった。

 中をのぞき込んでみると、柔らかな毛布も用意されている。固い地面の上にそのまま寝るのとは全然違うだろう。

 かと思えば、セサルが水をくみに行き、マドレルが保存食を湯に放り込んで簡単に夕食の用意をしていた。

 あっという間に野営の準備は終わった。

 夕食として供されたのは、肉と野菜の煮込みにパンを添えたものだった。それに干した果実が数種類添えられている。同じ携行食でも、戻る時とは雲泥の差だった。


「アルティナ様――、お夕食をどうぞ」


 礼儀正しく、ミラールはアルティナに食事を勧める。
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