銀棺の一角獣
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 夜が明けた頃、ルドヴィクは歩みを止めた。アルティナはティレルの背から滑り降りる。


「……日がもう少し高くなるまで、少し休みましょう。ティレル殿の背では十分休まらないでしょう」


 アルティナは、黙って頷いた。一応うとうとしたような気はするけれど、たしかに十分に休まったとは言えない。


「申し訳ありませんが、テントはミラール様が運んでいました。ですからこのままお休みくださいませ」


 ルドヴィクは自分の分の毛布を地面に敷くとその上にアルティナを座らせる。アルティナが拒むのを、彼は身振りで封じた。上からアルティナの分の毛布がかけられる。

 ティレルは座り込んで、アルティナが寄りかかりやすいようにしてくれた。


「二人とも……ごめんなさい」

「しかたない。もともと出歩くような生活はしてなかったんだろ」


 ティレルに背中を預けていると、だんだん眠くなってくる。


「わたしが見張りに立ちますから――ご安心ください」


 アルティナの側に膝をついたルドヴィクは、手をとってそっと口づける。
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