銀棺の一角獣
綺麗に編まれた彼の髪が肩から前へ垂れ落ちるのをアルティナは黙って眺めていた。
いつだったか、髪をまとめるための飾り紐を彼に贈ったことがある。
一度もそれを使っているところは見たことがなくて――それが不満だった。心をこめて作ったのに、どうして使ってくれないのか――と。自分が彼の前を離れたら、彼は使ってくれるだろうか、一度くらい。
「あなたは、休まなくていいの?」
「ご心配なく、アルティナ様。一晩くらい寝なくても大丈夫ですから」
「わたしも、見張りをするわ。そのくらい――」
「そんなお疲れの顔で言っても説得力がありませんよ。後ほど、わたしが仮眠をとる間お願いしますからどうか今のうちはお休みください」
役に立たないと言われているような気がして、アルティナは不満顔になる。
「さっさと寝ろ。お前が休まないと、ルドヴィクも今後の方針がたてられない」
アルティナが目を閉じると、ルドヴィクはティレルの顔の方へと回る。二人がひそひそと何やら話しているのを耳にしながら、アルティナは眠ろうと試みた。
いつだったか、髪をまとめるための飾り紐を彼に贈ったことがある。
一度もそれを使っているところは見たことがなくて――それが不満だった。心をこめて作ったのに、どうして使ってくれないのか――と。自分が彼の前を離れたら、彼は使ってくれるだろうか、一度くらい。
「あなたは、休まなくていいの?」
「ご心配なく、アルティナ様。一晩くらい寝なくても大丈夫ですから」
「わたしも、見張りをするわ。そのくらい――」
「そんなお疲れの顔で言っても説得力がありませんよ。後ほど、わたしが仮眠をとる間お願いしますからどうか今のうちはお休みください」
役に立たないと言われているような気がして、アルティナは不満顔になる。
「さっさと寝ろ。お前が休まないと、ルドヴィクも今後の方針がたてられない」
アルティナが目を閉じると、ルドヴィクはティレルの顔の方へと回る。二人がひそひそと何やら話しているのを耳にしながら、アルティナは眠ろうと試みた。