銀棺の一角獣
彼の髪をまとめている赤い飾り紐をアルティナは見つめた。
「……心配、よ」
この旅がつらくないとは言わない。山間の村で騎士たちと別れてから、人と接するのが怖くなった。
ライオールの手がどこまで延びているのかわからなくて――固い地面で寝るのもまだ慣れない。
気候がいい時期なのは幸いだけれど、夜中に響いてくる物音に身体が震えることもある。
「……強制的に休ませるか――おい、ルドヴィク!」
大声に前をいく彼が振り返る。
「足を痛めた。まだ早いが、野営の場所を見つけ次第とまってくれ」
「――大丈夫、なのか?」
馬を寄せてきたルドヴィクは心配そうな顔を、ティレルがぶらぶらと振っている前足に向ける。
「たいしたことはない。だが、アルティナを乗せて走るのは厳しいな。今夜のうちに治しておきたい」
「……わかった」
ルドヴィクは、それだけ言うと再び離れていく。
「……心配、よ」
この旅がつらくないとは言わない。山間の村で騎士たちと別れてから、人と接するのが怖くなった。
ライオールの手がどこまで延びているのかわからなくて――固い地面で寝るのもまだ慣れない。
気候がいい時期なのは幸いだけれど、夜中に響いてくる物音に身体が震えることもある。
「……強制的に休ませるか――おい、ルドヴィク!」
大声に前をいく彼が振り返る。
「足を痛めた。まだ早いが、野営の場所を見つけ次第とまってくれ」
「――大丈夫、なのか?」
馬を寄せてきたルドヴィクは心配そうな顔を、ティレルがぶらぶらと振っている前足に向ける。
「たいしたことはない。だが、アルティナを乗せて走るのは厳しいな。今夜のうちに治しておきたい」
「……わかった」
ルドヴィクは、それだけ言うと再び離れていく。