銀棺の一角獣
国王の前にて
旅の間ルドヴィクは、アルティナには近寄ろうとはしなかった。けれど毎夜、アルティナが宿泊場所から外を眺めると、そこに彼の姿を見ることができた。
二人は視線だけで会話をかわす。
『どうか、ごゆっくりお休みください――』
『あなたも――』
ここは周囲の人たちが二人を温かく見守ってくれた宮中ではない。
アルティナに恋人がいるなどとライオールにつけこませる隙を与えるわけにはいかなかった。
だから、日中も二人は極力距離をあけたまま旅を続けていた。
それが変わったのは、明日にはライオール王と対面するという前夜のことだった。
夜着に着替えたアルティナは、今までそうしてきたようにテラスへと出た。そこに膝をついている影に踏み出しかけた足が止まる。
二人は視線だけで会話をかわす。
『どうか、ごゆっくりお休みください――』
『あなたも――』
ここは周囲の人たちが二人を温かく見守ってくれた宮中ではない。
アルティナに恋人がいるなどとライオールにつけこませる隙を与えるわけにはいかなかった。
だから、日中も二人は極力距離をあけたまま旅を続けていた。
それが変わったのは、明日にはライオール王と対面するという前夜のことだった。
夜着に着替えたアルティナは、今までそうしてきたようにテラスへと出た。そこに膝をついている影に踏み出しかけた足が止まる。