銀棺の一角獣
 リンドロウムの森にたどりつくと、ティレルはアルティナとルドヴィクを背に乗せたまま森の奥へと進んでいく。


「ここに何があるの?」

「一番奥に、俺がもとめているものがある。お前は、ここで待っていてくれ」


 ティレルはアルティナとルドヴィクを下ろした。


「アルティナ、お前は着いてこい」


 それを聞いたルドヴィクは、ティレルの背に乗せている馬具や荷物を下ろす。アルティナはその荷物を抱えると、手近な木の下に運んで並べる。

 それを終え、アルティナはルドヴィクから離れてティレルの方へと近づいた。

 アルティナは、ティレルの背に手を置いた。ルドヴィクの方へと向き直って、口元に笑みを浮かべる。


「……行ってくるわ」

「……」


 アルティナの微笑みに対しても、ルドヴィクは無言のままだった。その瞳に全ての思いを込めて、彼はアルティナを見つめる。
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