銀棺の一角獣
 アルティナの両手がルドヴィクの背中へと回る。肩の傷に触れないようにそっと彼のシャツを握りしめた。

 アルティナが倒れ込むのが先か、ルドヴィクが押したのが先か――それはわからなかった。

 唇を触れ合わせる行為は果てなく続けられた。互いの身体に腕を回し合って、絶対に離れないと主張するように。

 身をほどいたのは、どちらが先かわからなかった。気がつけばアルティナは毛布の上に横たわっていて、ルドヴィクの肩越しに真っ暗な空を見上げている。

 彼はアルティナをまたぐようにして膝をつき、彼女の肩の上に両手をついてただ、見ていた。編んだ金の髪が肩から垂れ下がってアルティナの頬をくすぐった。


「肩の傷は……もう、いいの?」

「たいしたことはないと……言ったでしょう?」


 本来話したいのは、こんなことではないのを二人ともわかっていた。ルドヴィクの唇が物言いたげに動き――けれど、出てくるはずの彼の言葉は飲み込まれてしまう。
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